改正貸金業法のクレジットカードへの影響

改正貸金業法のクレジットカードへの影響

2010年改正貸金業法とは

2010年6月18日に改正貸金業法が施行されました。 この改正の大きな目的は貸金業者の業務を適正化し、過剰貸し付けを抑制することによって多重債務者を増やさないことに力点が置かれました。 貸金業者の業務の適正化の要点は、貸金業者の参入条件を厳しくし総資産が5,000万円以上でなければ貸金業を営むことができなくなりました。

 

また、夜間の取り立てや日中でも執拗な取り立て行為は禁止されました。 そして大きな改正点は、それらの規制違反に対して金融庁が業務改善命令を出せる様にしたことです。

 

それでは以下で具体的な改正貸金業法の主なポイントを見てみましょう。

 

総量規制の導入

まず、過剰貸し付けを抑制するために総量規制が導入され、申込者の総借入残高が年収の1/3を越える貸付が禁止されました。 その結果、貸金業法の規制を受ける信販会社やクレジット会社などのノンバンクと、消費者金融会社及び一般貸金業者などの全ての会社のカードローンやキャッシングの貸付総額の総量が規制されることになりました。

上限金利の引き下げ

次に、上限金利の引き下げが行われグレーゾーン金利が撤廃されて、出資法の上限金利を年率20%に引き下げました。現在の超低金利時代に於いては年率20%でも非常に高い金利ですが、上限が引き下げられたことは利用者にとっては一歩前進です。

年収証明の提出

総量規制の導入によって、実質的に1社の業者で50万円以上借入れる場合や2社以上で100万円以上を借入れる場合は年収を証明する書類の提出が求められます。

指定信用情報機関の創設

クレジットカード会社・信販会社・消費者金融会社・一般貸金業者等の全ての貸金業者が顧客情報を共有し一人ひとりの借入額を正確に把握しています。

 

改正貸金業法施行によるクレジットカードへの影響

改正貸金業法施行によるクレジットカードへの影響を顧客の側と業者の側から見ていきます。

 

顧客への影響

改正貸金業法施行による顧客への最も大きな影響は、総量規制によって既に年収の1/3以上の借入をしている人は突然お金を借りることができなくなりました。

 

また、収入の無い専業主婦や年収100万円以下のパート主婦が借入をする場合は、夫の許可が必要となりました。しかし現実には、配偶者の同意書を得てまでキャッシング枠を付与してクレジットカードを発行する例は少ないようです。 更に、クレジットカードを作る際に収入を証明する書類の提出等の手続が増え、カード発行の審査も厳しくなりました。

 

クレジットカード業者への影響

 

まず、2010年2月末の消費者向け無担保貸し付け(銀行カードローンは除く)の現状を見て頂きたいと思います。

業態無担保貸し付け残高
クレジット信販会社4兆9,472億円(51.0%)
消費者金融会社4兆7,398億円(48.8%)
一般貸金業者225億円(0.2%)

金融庁によりますと、クレジットカードのキャッシングを合わせた無担保の消費者金融の利用者は2010年3月末時点で1,420万人に上っており、単純計算で全国民の9人に1人が無担保の消費者金融を利用していることになる訳です。 そして、無担保ローンの総貸付残高のうちでクレジットカードのキャッシングの利用が過半数を占めています。

 

従って、今回の改正貸金業法施行がクレジットカード会社に与える影響は小さくありません。 まず、上限金利が年率29.2%から20%に引き下げられたことによって、クレジットカード会社の収益が目減りすることになります。

 

その結果、クレジットカード会社はポイントの実質的な還元率を引き下げたり、ATMからのキャッシング時に105円~210円の手数料を取る対策を実施するケースが増えています。また、プロパーカード以外のクレジットカード会社の中には、クレジットカードのキャッシングサービスやカードローン等の個人向けの無担保融資から撤退し、クレジットカードのショッピングサービスに特化する会社も出て来ています。

 

クレジットカードのキャッシングサービスから撤退した会社は、JR東日本カードやトヨタファイナンス等で、クレジットカードの利用を本来の鉄道利用や自動車販売に繋げることに特化する様です。

 

改正貸金業法の適用を受けないカード

そもそも、貸金業法改正の目的はクレジットカードのキャッシングや消費者金融等への規制を厳格化し、多重債務者の解消を図ることでした。 従って、貸金業法の対象になっていない銀行や信用金庫のカードローンは、今回の改正貸金業法の影響は全くありません。

 

つまり、銀行のカードローン残高が年収の1/3を超えていても、総量規制には該当しない訳です。

 

しかしながら、元々、クレジットカード会社や消費者金融会社よりも審査基準が厳しい銀行カードローンは、今回の貸金業法改正の影響を受けないとしても審査基準を緩める筈はありませんから、顧客サイドから見ると全体的な審査基準が厳格化されたことは否定できません。

 

ただ、不動産ローンや住宅ローン・自動車ローン・有価証券担保ローン等も改正貸金業法の規制の対象外のローンです。というのも、改正貸金業法がクレジットカードのキャッシングや無担保の消費者金融を対象にしているのに対して、不動産ローンや住宅ローン・自動車ローン・有価証券担保ローン等は有担保のローンであるからです。

総量規制の適用を受けない代表的な銀行カードローン
三菱東京UFJ銀行カードローン 楽天銀行スーパーローン オリックス銀行カードローン
【記事情報】カテゴリー: お役立ち情報 | 投稿日: 2012年6月14日(木)
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